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ラフィエル「サターニャさんがいじめられているのを見てしまいました…」 [無断転載禁止]©2ch.net

1 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:18:57.140 ID:QdVdDnwD0
※長い


「サターニャさん!」

「わぁっ!?な、何よ、ラフィエル!」

その日の昼休みも、私はいつものようにサターニャさんのところへ行きました。

私が声をかけると、サターニャさんは警戒して、私と距離を取ろうとします。
そして体を手で抑えながら…横睨みで私のことをじっと見つめてくるのです。

ああ、愛おしい。こんなにも愛らしい玩具…もといお友達は、後にも先にもサターニャさんだけでしょう。

「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ♪一緒にご飯食べましょう?」

「信用ならないわよ!そんなこといってアンタ、この前も…!」

「いいじゃないサターニャ。みんなで食べた方が美味しいわよ?」

「私は一人の方が好きだけどな」

ナイスジョブです、ヴィーネさん!
今日も楽しい一日になりそうです。

2 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:20:54.255 ID:QdVdDnwD0
サターニャさんと出会ってから、灰色のようだった日々がたちまち色付きました。
天界にいた頃の、退屈で、つまらない日々も悪くはありませんでしたが…やはり、私は本質的に、刺激を求めているようです。

「サターニャさんはまたパンだけですか?」

「な、何よ…別にいいじゃない。美味しいんだから!」

「サターニャさんがそれでいいならいいんですけど…」

そこで私は、おもむろに私の作ってきたお弁当から、唐揚げを一つ持ち上げます。

「サターニャさんがどうしても、というなら、私のオカズを分けて差し上げようと思っていたんですが…」

「んが…!」

ふふ、サターニャさんは分かりやすいですね。もっともっと虐めたくなっちゃいます。

「今日の唐揚げ、結構美味しくできたんですよ。昨日、国産地鶏が少し安くなっていので、奮発しちゃって…」

「こくさん……?じどり……?」

サターニャさんが生唾を飲む音が聞こえてきました。…さぁ、そろそろサターニャさんが強がりを始める頃ですが…。

3 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:21:34.170 ID:IiihJ//b0
電車内、子ども抱っこした母親に「席座りますか?」断られることも… 理由を説明したマンガに反響
http://deone.ezua.com/arc_text/14.html

4 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:22:13.795 ID:QdVdDnwD0
「……っ!ふ、ふざけるんじゃないわよっ!」

来ましたっ!

「ククク…この私を誰だと思っているの?そう、我こそは、大悪魔胡桃沢=サタニキ=マクドウェル…!天使の施しなど、受けるわけが―――」

……。

……あれ?
どうしたんでしょう。

「……………」

サターニャさんは、急に何かに気付いたような素振りを見せると、すっかりそのまま固まってしまいました。

不審に思い、ガヴちゃんやヴィーネさんの方を見ますが…2人とも、呆気に取られたような顔をしています。

「……いえ、いただくわ」

「え?あっ…!」

その不意をついて、サターニャさんは、私が箸で持ち上げていた唐揚げにかぶり付きました。

そう、私の箸ごと。

5 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:24:20.139 ID:QdVdDnwD0
「!?さ、ささささサターニャさん!?」

その時の私の動揺っぷりといったら、みっともないものでした。

だってサターニャさんのその行動は、全く予想外のものでしたし…。その衝撃が覚めないうちに、「サターニャさんと関節キスをした」という事実が、頭の中に押し寄せてきたんですから…。

「さ、サターニャ!?な、何やってんのアンタ!」

「え、な、何って…くれるって言ったから貰っただけじゃない」

「いや、お前がそれを素直に受け取ったのがおかしいんだが…」

「そ、それもそうだけど……ああもうっ!ラフィを見なさいよ!すっかり放心してるじゃない!」

別に放心しているつもりはなかったのですが。

私以上に慌てるヴィーネさんを見て、サターニャさんはけろっとしたものです。頭の上に疑問符を浮かべながら、彼女は唐揚げを飲み込みました。

「ごくん。まぁ、なんのことかよくわかんないけど…」

「美味しかったわよ、ラフィエル」

6 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:25:11.733 ID:QdVdDnwD0
そんなことを柔らかく微笑みながら言うものですから、私としてはたまったものではありません。

心臓がうるさいくらいに高鳴ります。
体温が一気に上がっていくのが感じられます。サターニャさんと初めて出会った時に感じた、あの高揚感とも違う、おかしな感情が、私の神経を昂らせます。

「………し」

やっと私の口をついて出たのはそんな言葉。

「失礼しますっ!!」

ダダダダダッ。

気付けば、私はお弁当箱を抱え走り去っていました。
「ちょ、ちょっとラフィ!?」という、ヴィーネさんの呼び声が聞こえた気がしましたが…私は構わず走り続けました。

その日一日は、サターニャさんと顔を合わせることが出来ませんでした。

サターニャさんのことを考えるよりも…自分の気持ちを鎮めるのに、精一杯でしたね。

だから、その時は気付けなかった。

今思えば、サターニャさんは、確かに「何か」に怯えていました。

7 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:26:20.263 ID:QdVdDnwD0
「…おはよー」

「おはよう、ラフィ」

「あ、おはようございます、ガヴちゃん、ヴィーネさん」

次の日の朝、私はサターニャさんに会いませんでした。

なんでもその日、サターニャさんは日直だったそうで。そういうところはヤケに律儀なのも、サターニャさんの魅力ですね。

「ラフィエルはやった?例のレポート」

「そういえば…そろそろ提出期限ですね」

レポートというのは、天界が私たちに定期的に課す、調査書のようなものです。確か今回の調査対象は、『女性にウケるカラオケソングベスト10』だったはず…。

死ぬほどどうでもいいですが、仕送りに直結する以上、しないわけにはいきません。

8 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:27:42.554 ID:QdVdDnwD0
「ガヴちゃんはどうなんですか?」

「こういうことに関しちゃ、私には優秀な情報屋が付いてくれてるからな」

「ネットゲームで知り合った人たち?」

「歌とか映画とか、オタク臭いことはだいたいあいつらに聞けば、いい感じの答えをくれるんだ」

「怒られるわよアンタ…」

「そういうことを気軽に調べられるのは素直に羨ましいですね」

「ん?お前らだって、クラスでは普通に友達多いし、そういうの聞きやすいんじゃないのか?」

「いや、高校生に独身女性にウケるカラオケソング聞いてどうすんのよ…」

「ですね。学校外でも顔は広い方ですが、やはり大人の人に調査をするのは時間がかかります。暫くは、放課後にサターニャさんで遊べそうにないです…」

天使学校次席卒業、それも、天界屈指の名家である白羽家の私には、それ相応の働きが求められます。

死ぬほどどうでもいいことでも、きちんとしたクオリティのものを出さなければ、それだけで家の名前にキズが付いてしまいます。

面倒ですが、エリートとはそういうものです。

9 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします 転載ダメ©2ch.net:2017/04/07(金) 10:27:54.880 ID:HRGlO25W0


10 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします 転載ダメ©2ch.net:2017/04/07(金) 10:28:05.547 ID:HRGlO25W0


11 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします 転載ダメ©2ch.net:2017/04/07(金) 10:28:17.714 ID:HRGlO25W0


12 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:28:39.848 ID:hIGxgKlI0
これは期待

13 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:28:51.755 ID:QdVdDnwD0
「…そのサターニャのことだけどさ」

そんな風に切り出したのはヴィーネさん。

「本当にどうしたんだろう?何か、昨日はやけに大人しかったというか…」

「さぁ。腹でも痛かったんじゃないの」

「そんな簡単なことならいいのですが…」

そう返しながら、確かに昨日のサターニャさんはおかしかったな、と、昨日の出来事を思い返そうとします。

その度に、サターニャさんのあの笑顔が浮かび上がってきて、思考がうまく纏まりません。

「だ、大丈夫!?ラフィ、顔真っ赤よ!?」

「……だいじょうぶ、だいじょうぶです。お話を、続けて……」

「いや、どう見ても大丈夫じゃないだろ…」

結局、サターニャさんについてのお話は、そこで打ち切りとなりました。

14 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:31:49.469 ID:En4uQz8yH
わくわく

15 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:34:39.916 ID:QdVdDnwD0
ああ、これではレポートどころではありません。

サターニャさんの顔を思い出しただけで、サターニャさんを思い浮かべただけで、思考回路はショート寸前、泣きたくなるようなムーンライトというようなものです。

これまで、サターニャさんは私にたくさんの興奮を与えてくれました。

ある時は犬とじゃれ合い、またある時はガヴちゃんにあしらわれ…。

私はそうしたサターニャさんを見るのが好きで、サターニャさんに付き纏っていたはずです。

なのに、この気持ちはどういうことなのでしょう。

その自問と同時に、昨日調べたラブソングが頭の中で流れ始め、また私の顔は熱くなります。

…しばらく、サターニャさんに会うのはやめましょう。

早くこの気持ちに整理を付けないと、自分が自分でなくなってしまう気がした私は、そう決断しました。

16 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:35:04.221 ID:hH45zRGT0
支援

17 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:39:04.921 ID:QdVdDnwD0
結論を言えば、その決断は大失敗でした。

サターニャさんを避け始めて三日、私の気持ちに整理がつくことは無く。

サターニャさんに会いたい、その気持ちだけが、日増しに膨らんでいくばかり。

三日間の忍耐の末に得たものといえば、「三日間もサターニャさんに会えない」という状況を作り出してしまった、自分への自己嫌悪のみ。

もうこれはどうしようもないな。四日目にして、ようやくその結論に辿り着いた私は、お昼休み、サターニャさんのクラスを尋ねてみる決心をします。

意を決して1年B組に飛び込んだ私は、サターニャさんの姿を探します。

お昼休みはたいていガヴちゃんの席にいるので、探しやすいのは探しやすいです。ガヴちゃんの席は教室の一番後ろ、廊下から少し覗けば見えます。

さて、勇気を出すんです、私!

喝を入れ、教室の中を覗き込みますが―――


―――そこに、サターニャさんの姿はありませんでした。

18 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:40:25.122 ID:QdVdDnwD0
「………?」

サターニャさんどころか、ガヴちゃんの姿も、ヴィーネさんの姿もありません。もちろん、少し覗いた程度なので、教室の中にはいるかもしれませんが…。

不思議ですね。いつもはガヴちゃんの席で、ヴィーネさんたちと一緒に、楽しげにお昼タイムを過ごしているのですが…。

私のいない三日間の間に、何かあったのでしょうか。

こういう時は、千里眼ですね。

私はゼルエルさんほど天使力はないので、見たい対象をはっきり見ることは出来ませんが…居場所探知くらいならば楽勝です。

では、サターニャさんを探しましょう。

19 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:44:49.844 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

ガチャリ。

扉を開けると、爽やかな風が吹き込んできます。

空は見事なまでの快晴。靡く髪を手で抑えながら、うららかな陽気にあてられた屋上を、まずはぐるりと見渡します。

「……ラフィエル」

「あ、いました。サターニャさんに…ガヴちゃん♪」

サターニャさんは、ガヴちゃんと一緒に屋上でご飯を食べていました。端にあるベンチに、二人仲良く座りながら。

思いの外、私はサターニャさんを見て取り乱しませんでした。鼓動は不自然なまでに速くなっていますが…なんとか、表情には出ていないようです。

この三日間、サターニャさんを思い返しては悶える、という行為を繰り返し続けたおかげで、少しは耐性がついていたのかもしれません。

20 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:48:28.461 ID:QdVdDnwD0
「久々ですねー。会いたかったですよー」

「ちょっ!く、くるしっ…!や、やめなさいっ!」

なんだか気の大きくなった私は、どさくさに紛れて、サターニャさんを後ろから抱き締めちゃいます。

サターニャさんの髪はいい匂いがして、私の頭をそれ一色に染め上げます。

サターニャさんの体はふわふわとしていて、それでいて華奢で……脳みそが蕩けてしまうほど心地いい。ずっと抱き締めていたくなります。

「ほんと久々だな。何してたんだよ」

「ちょっと…私情がありまして」

「いいからさっさと離しなさいよっ!!」

まさか、「サターニャさんの顔を見るのが照れ臭くて避けてました」などと言うわけにはいかず、曖昧にそう返します。

21 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:50:14.365 ID:QdVdDnwD0
サターニャさんの抵抗もきつくなってきたので、名残惜しいですが、サターニャさんをもふもふするのもこれまでです。

「…全く、久々に見たと思ったら油断も隙もいわねアンタ…!」

「寂しかったですかー?」

「そ、そんなわけないじゃないっ!」

そういって、ぷいっとそっぽを向いてしまうサターニャさん。そんな仕草もいちいち可愛いです。

「そういえば、どうしてこんな所で?教室に行ってもいないから探しましたよ」

ひとしきりサターニャさんを堪能したので、気になったことを尋ねてみることにします。

「……まぁ、暖かくなってきたし、屋上ってなんか憧れるからって、サターニャが…」

「……?そうなんですか」

その歯切れの悪さに、私は違和感を覚えました。そもそも、あのガヴちゃんが、サターニャさんに言われたからと、いちいち食事の場所を変えるでしょうか…?

22 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:55:04.100 ID:QdVdDnwD0
「それと、ヴィーネさんはどこへ?」

それも疑問の一つです。いつも、食事はガヴちゃんと、サターニャさんと、ヴィーネさんの3人でとっていたはず…。

ジュースでも買っているのでしょうか。

「………」

私がその質問を投げかけた途端、ガヴちゃんとサターニャさんの顔が、みるみる曇っていきました。

聞いてはいけないことを聞いた。
そんな雰囲気が漂います。

「……ヴィーネとは、ちょっと喧嘩した」

「そうですか」

それ以上のことを私は聞きませんでした。

ヴィーネさんとガヴちゃんが喧嘩なんて、珍しいこともあるものです。恐らく、ここでご飯を食べているのも、それが原因なのでしょう。

ヴィーネさんのことですし、大した喧嘩ではないとは思いますが…。

レポートがひと段落ついて、まだ仲直りが出来ていないようなら…手を打ちましょうかね。

23 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 10:59:18.024 ID:QdVdDnwD0
「……さぁっ、食事も済んだことだし、勝負よガヴリール!!」

「……サターニャ」

このサターニャさんの勇ましい声も、随分と久しぶりな気がします。

「うふふ。今度は何をするおつもりですか?」

「今日はこの、昨日魔界通販で買ったコレで―――」

その時の私は、心の底からほっとしていました。

三日前、私を動揺させた、あのサターニャさんの様子がおかしかったことは、なんだかんだで私の心にずっと残り続けていました。

だから、こうして、前のようなサターニャさんを見ることが出来て…私は、心の底から安堵していたんです。

そんな、私の陰で。

ガヴちゃんは一人。
泣きそうな顔で、サターニャさんを眺めていました。

私は最初その意味がわからなくて、気のせいだったと割り切ってしまいます。

24 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:05:37.516 ID:QdVdDnwD0
昼休みが終わり、放課後になる頃には、私はすっかり吹っ切れていました。

昼休みのサターニャさんとガヴちゃんのやり取りを見て、はっきりと気付いたからです。

私は面白いのも可愛いのも、全部ひっくるめてサターニャさんを愛していると。

サターニャさんを愛す。それこそが私の存在意義で、行動理念である、と。

もう何も怖くありませんでした。終業のチャイムが鳴ると、私は三日間の空白の時間を取り戻すため、サターニャさんを誘いにB組を訪れます。

しかし、サターニャさんはいません。

…おかしいですね。もう帰ってしまったのでしょうか。それでも、サターニャさんは帰り支度が早い方ではなかったはず…。

千里眼で場所を探します。すると、サターニャさんはトイレの個室にいることがわかりました。

…トイレですか、なら仕方ないです。

締切が近いのに、ただでさえ三日間も無駄にしてしまったのです。今日から全力で仕上げないと、レポートは到底間に合わない。

私はサターニャさんを置いて、一人で家に帰ることにしました。

25 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:12:15.351 ID:QdVdDnwD0
そんな日が、何日か続きます。

昼休みは屋上で、3人でパンを齧るというのが恒例になっていました。

ヴィーネさんは一度も屋上に姿を見せません。それどころか、朝に会うことも無くなりました。

登校の時も、ガヴちゃんとサターニャさんの、3人になることが多くなりました。

始業前は、サターニャさんとガヴちゃんの2人で、自動販売機の前にたむろしているのを見かけます。

サターニャさんは、図書室で気になる魔導書を見つけたようで、毎日図書室に通ってそれを読み耽っているそうです。

出来ることなら私もそれに付き合いたかったですが、レポートの進捗が控えめに言ってヤバいので、やむなく一人で下校をします。

ガヴちゃんは、私と帰ろうとはしませんでした。

26 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:19:40.121 ID:QdVdDnwD0
サターニャさんは、毎日のように高笑いを上げながら、私に最高のエンターテイメントを与えてくれました。

それとは対照的に、ガヴちゃんはみるみる消沈していきます。

「ヴィーネさんとうまくいってないんですか?」とは、聞きませんでした。首を突っ込むなら徹底的に、というのが、私の信条だからです。

ですが、そろそろ手を打たないとマズいですね。サターニャさんがいくら場を盛り上げようとしても、ガヴちゃんがその調子では、サターニャさんが可哀想です。

サターニャさんは、元気の無いガヴちゃんのために、必要以上に明るく振舞っています。

サターニャさんをずっと見てきた私にはわかります。多かれ少なかれ、サターニャさんは無理をしている。

丁度レポートも終わりました。今日の放課後から、ヴィーネさんたちに少し探りを入れてみましょう。

いきなり直接聞くのは流石に憚らられます。まずはサターニャさんから詳しく話を伺う必要がありますね。放課後、図書室へ行ってみましょう。

27 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:21:49.254 ID:QdVdDnwD0
ガラガラ。

図書室に着きました。

錆びた紙の臭いが鼻につきます。けれど、それもまた古書の魅力だという人もいますね。

金曜日の図書室は、翌日が休日ということもあってか、そこそこの人で賑わっています。

勉強をする人、本を読みふける人、窓際で陽の光を浴びながら寝ている人…。図書室の使い方一つとっても、個性が表れているようで面白いです。

さて、そんな中サターニャさんは…。

いえ、この中から手探りで探すのも面倒くさいですね。千里眼使っちゃいますか…。

はい、見えてきました。

サターニャさんがいるのは……。




図書室から、だいぶ離れたところにある…トイレですね。

28 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:27:44.292 ID:QdVdDnwD0
「え……?」

そういえば、そのトイレは数日前。
私が一度、千里眼で「視た」場所です。

「……?いえ、なんで……?」

どくん。どくん。
心臓が跳ねるたび、針金で体を締め付けられるような痛みが私を襲います。
身体中から出る、嫌な汗が私の肌をつたいます。

サターニャさんがいるトイレは、図書室からだいぶ離れた場所にあります。

もちろん、図書室のすぐ側にもトイレはあります。

このことが指す意味。それは。

…図書室に行っていたというのは、ウソだった?

なぜ、サターニャさんはそんな嘘を?

そもそも、毎日トイレで何を?

謎が謎を呼び、疑問に対する答えは疑問で埋め尽くされ、頭の中はぐちゃぐちゃです。

「とりあえず…!」

私は、一歩を踏み出します。

「サターニャさんのところへ行かないと…!」

29 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:32:16.398 ID:0qgvl2XC0
おもろいから
続け玉枝

30 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:32:37.204 ID:QdVdDnwD0
いても経ってもいられなくなった私は、神足通を使い、サターニャさんがいるというトイレに駆けつけます。


最初に聞こえてきたのは、笑い声。


「ギャハハハハ!可愛い可愛い!可愛く撮れたわよ胡桃沢さん!」

顔も知らない女子生徒。ただその佇まいから、そこそこのカーストはあるように思いました。


次に聞こえてきたのは、泣き声。


「……もう、やめ、て」

弱々しくそう呟いたのは。

制服も、ブラも、パンツも。
身ぐるみ全てを剥がされ、頭から足までびしょびしょに濡れた、サターニャさん。

31 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:36:04.804 ID:QdVdDnwD0
「ぁあ〜?なに?聞こえないんですけど?」

「……もう、やめて。どうして、こんなこと…」

「言ったでしょ?アンタがムカつくからだって」

「………」

「毎日毎日、周りの目をはばからずにきゃあきゃあきゃあきゃあと……うっさいのよ、ウザイのよアンタ」

「朋美言い過ぎ〜w」

「ここまでやっといて今更遠慮することないっしょw」

「それもそうよねw」

「…まぁ、後はアンタの反応が面白いってのもあるけどね」

「っ……!」

「クックック……この写真、どうしようかな。クラスの男子にばら撒く?それともネットにあげちゃう?」

「……んぁっ!や、やめっ…!」

ダンッ!

「だーかーらー。うっさいんだって」

「ぅあ……」

「この写真ばら蒔かれたくなかったら…ちゃんと私らの言うこと聞かないとダメよ?」

「www」

「マジ外道www」

「………」

32 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:40:50.231 ID:h0ONbkQx0
支援

33 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:43:23.971 ID:QdVdDnwD0
私は、一部始終を黙って見ていました。

最初は、起こっていることをにわかには受け入れ難く、ただただ脳が、立ち尽くすことしか許してくれませんでした。

だけど、起こっていることを理解するにつれ、私の中に一つの感情が沸き起こってきました。

私は驚くほどに冷静でした。

ただ冷静に、自分の中に沸き起こる感情を制御し、じっと時を待ちました。

取り返しのつかないことにならないよう。じっと、冷静に…自分の心に言い聞かせていました。

「殺してはいけない」と。

そして…その時は来ます。

34 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:49:18.335 ID:QdVdDnwD0
「……ぁ?アンタ誰?つーか何見てんの?」

「え?誰かいんの?」

「……うげ、あれ白羽じゃん」

ゴミクズ共が、次々と私を認識し始めました。
その中の一人は、私の名前を知っていたようです。有名人は辛いですね。

「………!ラフィ、エル……?」

そうして、私に気付いたサターニャさんは、そう私の名前を呼びます。

それは救いを求めていたのか、…それか、来てしまった私を咎めるためだったのか…真相は定かではないですが。

スイッチが入るには、それだけで十分でした。

「こんにちは、はきだめの鶴に群がる、蛆虫以下の寄生虫さん」

「ああ!?なんだお前!」

威勢よくそう切り出してきたのは、恐らくはリーダー格の女子生徒…仮に、ゴミAとでも名付けましょうか。

ゴミBやゴミCたちは、私に対して完全に萎縮しているようです。ならば、このままゴミAを無視して続けましょう。

「ミジンコ以下の学習能力すらないあなた達には、何を言っても無駄でしょうが」



「私のサターニャさんに、汚い手で触るな」

35 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:53:41.643 ID:QdVdDnwD0
そこからは一方的でした。

物騒なことは好きではありませんでしたが……これも神が私に与えた試練だと思い諦めます。

それはもう、徹底的に潰しました。

もう二度と、サターニャさんを虐める気なんて起きないくらいに。

最悪、もう二度と学校になんて来れなくなるくらいには、痛めつけてやりました。

あ、もちろん怪我はさせてませんよ?

こんなことで停学や休学を食らうのは馬鹿馬鹿しいですからね。

怪我をしない程度に…関節を極めたり。
怪我をしない程度に…首を絞めたり。
そんなことを、相手が泣き叫んでもおかまいなく続けました。相手の意識がなくなるまで。

たぶん、その時の私は正気じゃなかったように思います。ただ胸の中の感情に任せるままに、したいままに、暴れました。

ただ、あくまで私は理性的でした。越えてはいけないギリギリのラインを見極め、制裁を与え続けます。

36 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 11:59:47.146 ID:QdVdDnwD0
一通りゴミ掃除が終わり、聞こえるのは私の吐息だけになったあと。

ふと隣を見ると、怯えた表情のサターニャさんが、裸の体を抱き締めながら、ぷるぷると震えていました。

その姿を見た途端、私の心に巣食っていた「怒り」はたちまち消えてしまいます。
代わりに来たのは、「後悔」と「懺悔」と「自己嫌悪」でした。

気付くチャンスはいくらでもあったはずです。

元気のないサターニャさん、屋上でのお昼ご飯、いなくなったヴィーネさん、空元気のサターニャさん、放課後に消えるサターニャさん。

この情報だけでは気付けなくても、もっと早く、ここまで事態が進む前に、真実に辿り着くことは出来たはずです。

そうすれば、こんなやり方をしなくても良かった。いくら痛めつけたところで、いじめなんてものが無くならないというのはわかっていました。

標的が私とサターニャさんの2人に増えるだけ。そんなことはわかっていました。けれど、私は抑えることが出来なかった。

しょうもない劣情に振り回され、何の得にもならないレポートの作成に追われ。

挙句招いたのが、このどうしようもない結末です。

ああ、私はなんて、どうしようもない。

37 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:01:47.610 ID:QdVdDnwD0
「ぁ……」

サターニャさんと目が合います。
サターニャさんは今にも泣き出しそうで、触れたら壊れてしまいそうで。

けれど、私は手を伸ばします。私には逃げる権利はない。ちゃんとサターニャさんと向き合って、謝らなければならないから。

でも、やっぱり怖い。

拒絶されるのが怖い。怯えられるのが怖い。…ここに来て湧き上がるのが、自分勝手な「恐怖」だというのですから、救いようがありませんね。

歯を食いしばって、涙が溢れそうになるのをぐっと堪えて、私はその言葉を紡ごうとします。

「ご、ごめん、なさ…」

「ラフィエルっ!!」

え?

38 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:07:21.286 ID:QdVdDnwD0
「………ぐすっ、ひぐっ…」

「怖かった、怖かったよう……うわああんっ!」

「さ、サターニャ、さん?」

私は、サターニャさんに抱き着かれていました。

裸のまま、ずぶ濡れのまま、サターニャさんら私の胸に顔を埋め、遂には泣き出してしまいます。

私はどうしていいか分からなくなって、サターニャさんの頭をそっと撫でました。

謝罪の言葉も、自分への戒めも、跡形もなく吹っ飛んでしまいました。

「……もう大丈夫ですよ、サターニャさん」

わんわんと泣く、裸のサターニャさんを抱き締めながら、私は一つの決意をします。

「何があっても、私がそばに居ますから。絶対に離れたりなんか、しませんから」

そう耳元で囁くと、サターニャさんは潤んだ瞳で、私を見上げます。

「………ほんと?ラフィエルは、私を見捨てない…?」

「ええ。…もし私たちの仲を引き裂くような人がいれば、私が全部やっつけちゃいます」

「えへへ。嬉しい…」

サターニャさんは、そう消え入るように呟くと、にこりと笑いました。

その笑顔は、これまでに見たどのサターニャさんの笑顔よりも美しく、儚げで、私のこの気持ちはより一層強固なものになります。

この先何があっても、この手を離さない。
絶対に離してやるものですか。

39 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:08:08.986 ID:oaSbPWXH0
支援

40 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:09:22.560 ID:h0ONbkQx0
ラフィエルさんは頼りになるな

41 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:12:32.844 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

「……ごめんなさい、ラフィエル」

「え?」

ひとしきり泣き明かしたあと、私はサターニャさんに服を着せ、一緒に家路につきました。

床でのびているゴミ共は放っておきました。サターニャさんの裸を撮影したスマホは、きちんと壊しておきます。

そして、夕暮れの帰り道、サターニャさんは、急に私にそんなことを言ってきます。

「私、アンタを信用できてなかった」

「………」

サターニャさんのいう言葉の意味は、痛いほどに理解できました。

サターニャさんが、このことについて私に全く相談してくれなかった理由。自分がいじめられているという事実を、私から懸命に隠そうとしていた理由。

「………いいえ、サターニャさんが謝る必要はありません」

あの人たちは、サターニャさんを虐めながら、確かに言いました。

『反応が面白いから』と。

それは、私がサターニャさんを弄る行為の動機そのものです。程度に差はあれど、サターニャさんを使って楽しもうとしていた、その一点においては、私はあのゴミとなんら変わりなかったはずです。

42 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:17:39.753 ID:QdVdDnwD0
「私は」

「……謝らないで」

謝ろうと口を開くと、サターニャさんは立ち止まり、私の制服の裾をぎゅっと握ります。

「ラフィエルは、私を助けてくれた。私はそれが嬉しかった。…それだけで、いいじゃない」

俯きながら、ゆっくりと言葉を紡ぐサターニャさんに、私は何も言えませんでした。

ただサターニャさんのその言葉を噛み締めることしか出来ませんでした。

サターニャさんに赦された、認められた。その事実が、私の甘い部分をくすぐり、目頭がかあっと熱くなります。

自然と頬が緩みます。胸の中が、幸福で満たされていきます。

頭の中がサターニャさんでいっぱいになって…もう、それ以外のことは何も考えられなくなります。

やってしまった時には、もう遅かった。

唇に感じる、柔らかい感触。鼻腔をくすぐる、甘い香り。頭の中で弾ける、快楽の火花。

私は、サターニャさんにキスをしていました。

43 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:18:31.533 ID:h0ONbkQx0
いいぞ

44 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:23:59.495 ID:QdVdDnwD0
「……これは、違うんです」

急に冷静になった私は、そんな言い訳を始めました。

「ちょっと感極まっちゃったというか、別にヘンな意味じゃなかったというか…」

しどろもどろになりながら、わけのわからない言葉を連ねます。

サターニャさんは、そんな私をぽかんとした顔で見つめています。

「何をそんなに慌てているの?」とでも言わんばかりに、頭の上に疑問符を浮かべています。

そんなサターニャさんを見て、ついに私の頭は沸騰してしまいました。

「ま、また明日っ!」

ダダダダッ。

どうやら、私はすっかり逃げ癖がついてしまったようです。

「ちょ、ラフィエル!?待ちなさいよー!」

サターニャさんのそんな言葉が聞こえますが、構わず私は走り続けました。


「……ばかラフィエル」

45 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:25:28.158 ID:QdVdDnwD0
「はぁ、はぁ……」

サターニャさんを撒くのは案外容易でした。神足通を使えばいい話なんですが、この精神状態で神足通なんて使えば、最悪内臓が吹っ飛ぶことも有り得たのでやめました。

本来なら、今日はサターニャさんと一日一緒にいてあげた方が良かったのでしょうが、そういうわけにもいきませんでした。

私がやらかしてしまったのもありますが…何より、詳しいお話を聞かなければならない人がいたからです。

「……全く、どういうつもりなんでしょうね」

昂る神経を抑え、目標地点を確認し…飛びます。

「……ガヴちゃん」

46 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:39:18.778 ID:QdVdDnwD0
×××

なぜか顔を真っ赤にしたラフィと別れた後。

その日も、サターニャの様子はなんかおかしかった。

休み時間もやけに大人しいし、時々怯えたように周りを気にし始めるし。

さすがに不審に思った私とヴィーネが、「何かあったの?」と尋ねても、「なんのこと?」の一点張り。

サターニャのことだし、大したことはないんだろうが。それでもずっとこの様子だと、こっちとしても調子が狂う。

「…ねぇ、サターニャ本当にどうしちゃったんだろ?」

昼休み、私の席で弁当をつつきながら、ヴィーネはため息をつきながらそう言う。

「……わかんないけど、サターニャだしなぁ」

「でも、絶対何か変よ。いつもは昼休みになるとガヴの席に来るのに…メロンパン持って、そそくさとどこか行っちゃうし」

「何か見られたくないことでもするんじゃないの?別にそこまで気にすることないだろ」

半分は自分に言い聞かせるつもりで、私は言った。

ヴィーネはちょっと思案顔になると、「そうかなぁ…」なんて呟く。

「そうだよ、そうそう」と、私は焼きそばパンを口に運びながら吐き捨てた。

47 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:53:05.771 ID:QdVdDnwD0
「サターニャ、一緒に帰りましょう?」

やっぱりサターニャのことが心配だ、と言い出したヴィーネは、急いで帰り支度をするサターニャに声をかけた。

「……え」

サターニャは少し怯えながら後ずさるが、ヴィーネはそれを許さない。

グイ、と詰め寄り、サターニャの手を握る。

「辛いことがあるなら、私たちに相談して?私たち友だちでしょ?」

「……ぅ、あ……」

サターニャは少し身をよじりながら、そんなヴィーネから逃れようとする。

48 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 12:55:49.418 ID:QdVdDnwD0
こんな弱々しいサターニャは初めて見た。

私の知ってるサターニャは、良くも悪くも、喜怒哀楽がはっきりしていた。楽しい時は思い切り笑うし、悲しい時は思い切り泣く。

こんな風に、寂しげな泣き顔をするような奴じゃない。

「……放って、おいて!」

「サターニャ!?」

サターニャは、ヴィーネを突き飛ばすと、私の横を通り抜け、走り去ってしまう。

「ガヴ、何してるの!!」

「……?」

呆然と立ち尽くす私に、ヴィーネが呼びかける。

「追いかけるわよ!」

「……っ、あ、ああ!」

私は足をもつれさせながら、ヴィーネとサターニャの後を追った。

49 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:00:41.744 ID:QdVdDnwD0
「……はぁっ、待ちなさい、サターニャ…?」

「……ん?」

思いの外、サターニャは早く捕まった。

サターニャが、下駄箱の前まで来て、靴入れを開けた瞬間…ピタッと、立ち止まってしまったからだ。

「どうしたの?サターニャ…」

私とヴィーネは、走るのをやめ、立ち尽くすサターニャにそっと近づく。

今度は、サターニャは逃げなかった。

「………ん?」

そこで、私たちはサターニャが立ち尽くしていた理由に気付いてしまう。

今日一日、サターニャの元気がなかった理由に、気付いてしまう。

サターニャの下駄箱からは、サターニャの靴がなくなっていた。

50 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:06:12.690 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

「………あったわよ、サターニャ」

「ん……」

そう言ってヴィーネが持ち上げたのは、どろどろに汚された、サターニャのスニーカー。

サターニャは俯きながらそれを受け取ると、「……ありがとう」とだけ言い、どろどろになったそれを履くと、私たちから離れようとする。

「ちょ、ちょっと待てよ、サターニャ…!」

自然とそんな言葉が出ていた。

気付けばサターニャの腕を掴んでいた。

凄まじい違和感に襲われる。自分が自分でなくなるような気がして、吐きたくなる。

それでも、私の口は止まらない。

「説明しろよ……何が、どうなってんだよ。わかんないよ。なんで、なんでお前が、なんで……」

出てくる言葉は支離滅裂で、果たして私は何を言いたいのやら、自分でも全くわからない。

私が掴んだサターニャの腕は小刻みに震えていて、サターニャの潤んだ瞳は確かに私を拒絶していた。

51 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:09:26.996 ID:0qgvl2XC0
よろしい
続けたまえ

52 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:11:28.874 ID:QdVdDnwD0
「……ちょっと、ガヴ」

ヴィーネは冷静だった。

興奮する私をそっと抑え、怯えるサターニャの手を優しく取り、まるで子供をあやすような声音で、ゆっくりとサターニャに問いかける。

「サターニャ、教えてくれる?…誰に、何をされたのか。今、クラスで何が起きてるのか」

「……ふぐっ、ぐすっ………」

堪え切れなくなったのか、サターニャは静かに泣き始める。

「………うん。わがっ、た……」

「よしよし」と、ヴィーネがサターニャの頭を撫でる。「ゆっくりでいいからね」「大丈夫だよ」…そんな言葉を繰り返しながら、何度も何度も。

私はそんなヴィーネとサターニャを黙って見ていた。

本当に私は空っぽだな、なんて。今更ながらにそんなことを思った。

53 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:16:22.799 ID:QdVdDnwD0
「……嫌な視線を感じるようになったのは、一週間くらい前かしら」

「嫌な視線…?」

「うん。説明しにくいんだけど……あれは、悪意、なのかしら。…たまに舌打ちとか、ため息とか聞こえてきたりして、とにかく、すっごく嫌だった…」

「………」

「最初は気のせいだって思って特に気にしなかったんだけど……だんだん、舌打ちとかが聞こえる回数が増えていって、すごくこわくて……」

「……昨日、急に様子がおかしくなったのは、そのせい?」

「……あの時も、嫌な視線と、舌打ちが聞こえてきて、どうすればいいかわかんなくなって、そして……」

「落ち着いて話せよ。急かさないから」

「……うん」

「それにしても、今日のサターニャは昨日よりも更に様子がおかしかったわよ。なぜか、一日中私たちのことを避けてたし…」

「……今朝学校に来たら、上履きに画鋲が仕掛けられてて」

「………!」

「それで、全部わかっちゃって。嫌な視線や舌打ちの正体も、私がみんなにどう思われてるのかも…」

「……私たちに相談してくれなかったのは」

「…怖かったのよ。アンタたちも、私のこと嫌いなんじゃないかって思って。そう思い始めたら、止まらなくて。……馬鹿みたいよね」

ふふ、と。サターニャは自嘲気味に微笑む。私もヴィーネも笑うことは出来なかった。

その仕草から何まで、サターニャは昨日までの彼女とは別人のようだった。

本当はこれが、サターニャの本質だったのかもしれないけど。

54 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:18:27.793 ID:QdVdDnwD0
「……誰の仕業かわかる?」

底冷えのするような声だった。

ヴィーネは、まるでバハムートでも倒しに行くかのようなオーラを放っている。けれど、それでいてにっこりとした笑顔が崩れないのが不気味だ。

「………え」

サターニャはこれまでにない程に怯えている。正直私もチビりそうだ。本気出したヴィーネってやべぇ。

「お・し・え・な・さ・い?」

「は、はいっ!」

55 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:20:49.427 ID:hIGxgKlI0
見てるぞ

56 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:21:45.730 ID:Y/nHaNvR0
サターニャちゃん抱きしめてあげたい

57 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:23:52.078 ID:QdVdDnwD0
「主犯なんて聞き出してどうすんだよ」

「…やることなんて一つでしょ?」

サターニャと別れ、ヴィーネと二人きりの帰り道。

ヴィーネはずっと悪魔モードで、サターニャから聞き出した主犯たちの名前をぶつぶつと呟いている。こわい。

「……まぁ、許せない気持ちはわかるけど」

「いじめを受けたのがサターニャだから、ってだけじゃないわよ。こんなこと、本当はクラスのみんなもしたくないに決まってる…」

サターニャが挙げた主犯の名前は、クラスの中でそこそこの地位を築いてる奴ら…所謂トップカーストってやつだ。

私みたいな奴には縁のない話だが、ヴィーネみたいに器用で友だちの多いやつにとっては、そいつらのクラスに与える影響を、ちゃんと理解できているんだろう。

「明日直に話すわ。クラスのみんなが見ている前で……流石にそこまですれば、なんとかなるでしょう」

「ああ、頑張ってくれ」

結局私は、最後まで傍観者を気取り続けた。

それには、「きっとヴィーネなら大丈夫」という身勝手な思い込みがあったのと。

サターニャのために動くというのがなんか悔しい。そんなクソみたいなプライドに、まだ私が振り回されていたからだろう。

58 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:28:51.315 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

「サターニャ!」

「あ、ヴィーネ……おはよう」

「……おはよ」

翌朝、私たちはサターニャと一緒に学校へ行った。他愛のないことを喋りながら、いつものやり取りを、出来るだけ再現して。

サターニャは時折私とヴィーネのやり取りに笑顔を見せることがあったものの、いつものようにとはいかないみたいだった。

まぁ、いい。いずれ、このサターニャも…いつもの元気なサターニャに戻ってくれる。いじめさえなくなれば、全てうまくいく。

その日も、サターニャの上履きには画鋲が仕掛けられていた。

「芸のない奴だな。私なら同じ手は2度も使わないぞ」

「何言ってんのアンタは…」

「ふふっ、そうね」

「そーそー。見下してやればいいんだよこんなことする奴なんて。こんな下らないことに、いちいちビクビク怯えてちゃ馬鹿らしいだろ?」

思ったことを言っただけ。そこに他意はないはずだった。

「……そうね」

でも、思ったように元気づけられてくれないサターニャを見て、無性に私は悲しくなる。

59 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:33:01.259 ID:QdVdDnwD0
「ねぇ、あなた、どういうつもり?」

教室に入るや否や、ヴィーネは例のいじめっ子の席に詰め寄り、威圧的な態度で、そう言い放つ。

教室の目を集めるのには、それだけで十分だった。

「……あの月乃瀬さんが?」「どうしたんだろ」「何かあったのかな」「………」

口々にそんな言葉が聞こえてくる。中には、何かを悟ったように黙り込む人もいる。

私はと言うと、ヴィーネの邪魔にならないように、サターニャと一緒に扉の影からそれを見守っていた。

「はぁ?なんのこと?」

「これ」

ヴィーネがそいつの机に落としたのは、今朝サターニャの上履きに仕掛けられていた画鋲。

ざわざわとした喧騒が大きくなる。ヴィーネは完全に、この場でこいつを公開処刑するつもりらしい。

「それが?」

だが、そいつは全く動じる様子はない。ふん、と鼻で一笑し、ぎらぎらとした目でヴィーネを見つめている。

「とぼけないで、アンタが、サターニャを…」

60 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:39:29.911 ID:QdVdDnwD0
瞬間だった。

ヴィーネが、「サターニャ」の名前を出した瞬間。

それまでざわついていた喧騒が一気に止んだ。教室の空気がガラリと変わった。

「………は?」

一瞬何が起きているのかわからなかった。

正しいのはヴィーネで、間違っているのは虐めている奴ら。それは絶対なはずだ。

なのに、この教室に流れるこの空気はなんだ?

この教室ではヴィーネが『異端』で、いじめっ子の方が正しい。そう言わんばかりに、ヴィーネに非難の視線が集中する。

61 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:43:20.413 ID:QdVdDnwD0
ヴィーネも困惑した表情を浮かべていた。

だって、こんなことは全く予想していなかった。

私たちの知らない一週間の間に、ここまで教室の空気が腐りきっていたなんて、気付きもしなかったんだ。

「………え?あれ?」

「どうしたの?"胡桃沢サン"がぁ……どうかしたの?」

「う……あぅ、あ、あれ?」

ヴィーネは、何度も何度も言葉を紡ごうとするけど、なぜか声が出せない。そんなふうに見える。

「……ちがう、ちがうの……私は、私は……」

頭を抱え、俯いてしまう。相手の挑発的な視線から、突き刺さるクラスの人たちの視線から逃れるように、ふらふら、ふらふらと、ヴィーネは後ずさっていく。

私はヴィーネじゃないけど、その時の私とヴィーネの気持ちは多分同じだったと思う。

私も、その場から一歩も動けないほど、恐怖していた。その状況に。

頭では動かなくちゃいけない、ヴィーネを助けてやらなくちゃいけない、そんなことはわかっていたけれど。

体が麻痺したように動かない。金縛りって、こんな感覚なのかもな。

62 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:45:03.366 ID:QdVdDnwD0
「………ご、ごめんなさいっ」

「……っあ、ヴィーネ…」

遂にヴィーネはその場から走り去ってしまってしまった。

私とサターニャの横をすり抜けて。

ヴィーネが去ったあと、教室はいつもの空気に戻る。

それがまた一層不気味で、私は酷い吐き気に襲われた。

そんなクラスを、ヴィーネを、私を。サターニャは生気の宿らない瞳で、じっと見つめていた。じっと……。

63 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:46:48.314 ID:hIGxgKlI0
おうガヴ
第七ラッパを吹くことを許可するぞ

64 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:47:41.761 ID:h0ONbkQx0
先が気になって仕方ないよ

65 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:53:40.201 ID:3K5S4MtH0
ハッピーエンドで頼むぞ!

66 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:54:00.673 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

「………」

昼休み、私はヴィーネや、教室の空気から逃げるように屋上に来ていた。

教室は、朝に起きた出来事をなかったことにしたいようだった。

だからあの後、ヴィーネが迫害されるようなことは起きなかったし、むしろ何もかもがいつも通りで、変わらなかった。

私もヴィーネも、それを受け入れるしかなかった。

少なくとも、抗うことは出来なかった。

学生という社会の前には、天使だろうが悪魔だろうが、使いようのないコマに過ぎないのだ。

だから、もう、逃げるしかない。

その先に何もないとわかっていても、ひたすら逃げ続けるしかないんだ。

67 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 13:59:36.077 ID:QdVdDnwD0
その日は鬱陶しいくらいの快晴で、風は不気味なまでに爽やかだ。

そんな日だからか、屋上はそこそこの人で賑わっていた。空いてるベンチをきょろきょろと探すが、なかなか見つからない。

そんなふうに辺りを見渡していると、ふと、空きのあるベンチを見つけた。

そこにはサターニャ一人が座っていた。

「……よう」

「……ん、ガヴリールじゃない。どうしたの」

「たまには、屋上も使ってみようかなって」

「そう」

私は自然と、その隣に腰掛けていた。その時の私の心の中は、きっと傲慢な善意に溢れていたんだと思う。

私が隣にいてやることで、少しはサターニャも救われる。そう思い込もうとした。そうすれば、逃げている自分、という現実から逃げることが出来るから。

68 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:04:46.875 ID:QdVdDnwD0
「…………」

黙って、二人きりで、買ってきたパンを食べる。別にそれだけでも問題は無いはずなんだけど、その時の私は、会話が続かないことに激しい焦りを感じた。

何か話さなきゃ。どうにかして、沈黙を避けなきゃ。そんな焦燥が、私の思考回路を急き立てる。

とりあえず、何でもいいから……!

「……なぁ、ラフィに相談してみるか?あいつなら、なんとかしてくれるかも…」

そして、盛大に間違えた。

言ってしまった時にはもう遅かった。こんな時に、いじめの話題を出すやつがあるか。

「っ!ご、ごめんなサターニャ。今のは忘れてくれ…」

「……ラフィエルには、言わないで」

「え……?」

私のそんな謝罪を遮って、サターニャはそう懇願した。

「……消えちゃうのがこわい。それを見るのもこわい。……全部、もう、いやなの」

「……………」

その言葉の真意は伝わってこなかった。

だけど、私は頷くことしか出来なかった。

余計な言葉はたくさん出てくるのに、肝心な時は何も言えないんだ、私と言う奴は。

69 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:07:07.909 ID:QdVdDnwD0
×私と言う→〇私という

その次の日も、私はサターニャと屋上で飯を食べた。その日は何を話すということもなく、ただ黙々と、パンを齧り続けた。

コンビニで買ったクリームパンは甘ったるくて、とてもじゃないが全部食べ切ることは出来なかった。

サターニャへのいじめは、日に日にエスカレートしていった。教室の中で、みんなが見ている前で、殴る蹴るの暴力を振るわれるのも当たり前になっていた。

私は教室にいる間、ずっと窓の外を眺めて過ごした。

ヴィーネとは、一切話さなくなった。

70 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:14:02.094 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

次の朝、久々にサターニャを道で見かけた私は、なんとなく、声をかけた。

「……おはよ、サターニャ」

「ひっ」

サターニャはびくっと肩を震わせ、恐る恐る私の方を見ると、少し安堵した表情で、「…なんだ、ガヴリールか」と呟いた。

その反応にショックを受ける前に、サターニャの腕につけられた、生々しい痣を見て、胸がきゅうっと締め付けられる。

「……一緒に行こう」

私はそれを見ないふりをして、サターニャの手を取ろうとした。

サターニャは私の手を取ろうとはしなかったけど、「うん」と頷き、学校まで一緒に歩いた。

会話はなかった。

71 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:15:27.777 ID:5Leo4zjKd
ガヴとラフィの出会い書いてた人?

72 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:16:40.416 ID:5ZhoLe4a0
こんなのグラサンが黙ってないだろ

73 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:18:40.838 ID:QdVdDnwD0
教室に行くのも辛くて、学校に着くとすぐ、サターニャと一緒に、ぷらぷらと自販機がある踊り場まで行った。

前はよく昼休みにヴィーネと来た場所だ。

「……なんか飲むか、サターニャ」

「……いらない」

「じゃあ、私もいいや」

そんなやり取りをして、とすんと、壁にもたれかかる。

私は、会話がないことを窮屈だとは思わないようになった。それは、私が自分のためだけにサターニャと一緒にいるようになった、ということだ。

寂しさを紛らわせるために、過去の記憶の幻想を見るために、それだけのために、私はサターニャを求めた。

とばっちりを食らわないように、あいつらを刺激しないラインを見極めながら。

自分でもそのことは理解していたし、理解した上でサターニャを利用していた。

私は、完全に開き直っていた。

74 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:24:41.581 ID:QdVdDnwD0
その日の昼休み、ラフィが屋上に来た。

そういえば、ラフィにはサターニャのこと言ってなかったな、なんて、今更ながらにそんなことを思った。

実際、ラフィのことなんてその時まですっかり忘れてたんだ。

なんというか、逃避本能とでもいうのかな。

サターニャから「ラフィエルには言うな」と言われて、けれど私とヴィーネだけじゃどうしようもなくて、どうすればいいのかわからなくなって……無意識のうちに、ラフィのことを考えるのを拒否してた。

「……ほんと久々だな。何してたんだよ」

「ちょっと私情がありまして」

ラフィだけは、全く変わらず、いつものノリでサターニャに絡んでいた。抱き着いたり、煽ったり、とにかく何から何まで昔のサターニャとラフィのやり取りそのままで。

久々に前のサターニャが見れた気がして、少し嬉しかったけど、同時に少し切なくもあった。

75 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:25:50.526 ID:faHjV3zbp
ラフィエル様をすこれ

76 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:30:57.104 ID:QdVdDnwD0
「そういえば、どうしてこんな所で?教室に行ってもいないから探しましたよ」

「……っ!」

何のことでもないように、ラフィは突然聞いてきた。

一瞬言葉に詰まる。けれど、ここで黙ってしまうわけにはいかない。黙ってしまったら、怪しまれる。怪しまれたら……なんだろう。

きっとここで私が言い訳を探しているのも、結局は私が逃げるためなんだろうな。

私は適当なことを言って、その場をはぐらかした。

「それと、ヴィーネさんはどこへ?」

「…………」

でもこいつは、私にそれを許してくれない。

本人には全くそのつもりはないんだろうが、「逃げるな」「向き合え」と、頬を叩かれ叱咤されているように感じた。

77 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:35:36.154 ID:QdVdDnwD0
「……ヴィーネ、とは」

思い返される、一昨日の朝の光景。

あの日以来、ヴィーネとは話していない。何を話せばいいのかもわからない。そもそも、あいつが今、どういう風に過ごしているのかも、私は知らないのだ。

「……ちょっと、喧嘩した」

そんな言葉を発するだけでも、私の心臓は痛いくらいに鼓動し、全身の毛穴から、気味の悪い汗が溢れ出した。

ちら、とサターニャの顔を見る。サターニャはまた、あの怯えた目をして、震えて、今にも泣き出してしまいそうだった。

ラフィは「そうですか」とだけいうと、後は何も言ってこなかった。

嫌な沈黙が続いた。

正直、同じ学校に通っている時点で、サターニャのいじめを隠し通すことなんて不可能なんだ。

それは相手がラフィじゃなくても同じことで…私たちの行動には、なんの意味もない。

ただ先延ばしにしたい、その一心だ。その一心のために、私は平気嘘をつくし、傷ついて行くサターニャから目を逸らし続ける。

78 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:41:06.727 ID:sna3ThcY0


79 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:41:13.578 ID:sna3ThcY0


80 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:41:36.820 ID:sna3ThcY0


81 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:41:40.800 ID:QdVdDnwD0
「……さぁっ!食事も済んだことだし……勝負よガヴリール!!」

沈黙を破ったのは、そんなサターニャの声。

「……サターニャ?」

ふとサターニャを見ると、サターニャはいつものように、訳の分からないポーズをとって、ドヤ顔で私を見つめてくる。

「うふふ、今度は何をするおつもりですか?」

「今日はこの、昨日魔界通販で買ったコレで―――」

置いていかれる私を尻目に、サターニャとラフィは「いつもの」茶番を始める。

涙を必死に堪えながら、けれどもそれをラフィに悟らせないように、必死に「いつも」を演じるサターニャを見て、私はなんとなく悟ってしまった。


―――ああ、サターニャは、また見捨てられてしまうのが怖いんだ。

私やヴィーネに、されたみたいに。




「……はっ、やってみろよ。返り討ちにしてやる」

「ククク…覚悟なさい!」

私の中で、何かが崩れていく音がした。

82 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:41:41.886 ID:sna3ThcY0


83 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:42:46.662 ID:sna3ThcY0
サイコレズ最低やな

84 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:46:24.692 ID:QdVdDnwD0
私たちはラフィに会う度に、「いつもの私たち」を演じて見せた。

サターニャのいじめはますます深刻になっていったが、サターニャはそんなことをおくびにも出さなかった。

ラフィと久々に会った日の放課後、サターニャはいじめ主犯格の奴らにどこかへと連れて行かれた。

たぶん、それが私が動く最後のチャンスだったんだと思う。でも、私はそれを見送った。

そして、それからは、何も変わり映えのない日々を過ごす。

学校に来て、ラフィの前で茶番をして、教室に入ったら窓の外を見て過ごし、学校が終わると、逃げるように学校を出る。

そんな生活が何日も続いた。

85 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:51:59.815 ID:QdVdDnwD0
一度だけ、ヴィーネと廊下ですれ違ったことがある。

ヴィーネは、私やサターニャじゃない、他の女の子たちとお喋りをしながら、楽しそうに歩いていた。

「………」

ヴィーネは私に気付くと、突然目を見開いて、拳をぎゅっと握りしめ、何かと戦うように葛藤し始めた。

周りの子がその異変に気付いて、「大丈夫?」「どうしたの?」と声をかけるのが聞こえた。

私はその横を通り過ぎようとした。

「……ぁっ、ま、待って……!」

その袖を、ヴィーネが掴む。

ぎょっとした私がヴィーネを軽く睨むと、ヴィーネの手がそっと緩くなる。

「……悪いけど、急いでるから」

その隙に、私はヴィーネを振り払って、その場から離れようとする。

「待って!ガヴ!!」

ヴィーネの叫び声は無視して、私は早足で歩き続けた。

あいつはその後も何度か私の名前を呼んで呼び止めようとしたが、結局私は振り返らなかった。

86 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:56:14.925 ID:j4lkbdZQ0
ほしゅ

87 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:56:35.198 ID:QdVdDnwD0
まあ、要は、これだけのお話。

逃げて逃げて逃げ続けて、結果としてこの物語は最悪な形で終焉を迎える。

私は、ラフィが暴走する前に、ラフィやヴィーネと相談し、4人一緒に立ち向かわなきゃいけなかった。

だけどそれは結果論でしかない。

どこまでも弱い私たちは、後からそれを嘆くことしか許されない。

88 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 14:58:11.889 ID:hIGxgKlI0
過去回想が終わるとガヴVSラフィが始まってしまうのか・・・

89 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:00:26.002 ID:j4lkbdZQ0
え、おわり?

90 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:01:19.473 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

結界の壊された音が、頭に響いてくる。

流石に今の私の天使力じゃ、ラフィの神足通には敵わなかったようだ。

「……さて、お話を聞かせてもらいますよ。ガヴちゃん」

「話すことなんか何もないよ」

昨日が天界へのレポートの締切日だったから、今日あたり来るんじゃないかとは思っていた。

「それは、話すべきことがあると分かっている人の切り返し方です」

「……話すべきこと、か」

正直に話したところで、ラフィには理解してもらえないと思う。

私の……そしてヴィーネの、サターニャの行動は、数ある選択肢の中から、わざと一番有り得ないものを選んでいったものだから。

「あなたがもっと早く、サターニャさんの状況を教えてくれれば、…サターニャさんも、あそこまで酷いことはされずに済んだはずです」

「……んなことわかってるよ」

どうせ来るだろう、そんな憶測をはって、自分の心を守ろうとしていた時点で、自分が全く覚悟出来ていなかったのはわかっていた。

向き合いたくないから今まで逃げてたんだ。責められるのが怖くて逃げてたんだ。

私にそれを求めるな。もうどうでもいいんだ。どうせ元には戻らない。

91 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:06:39.209 ID:QdVdDnwD0
「わかってんだよ!!全部、全部……!」

感情の昂りは、抑えることが出来なかった。

「お前と私は違うんだよ!!私はもう、ああなったらどうしようもないんだ!!何も出来ないんだ!!それが私なんだよ……」

クズで怠惰でどうしようもない駄目天使。それが私だ。

「……お前のしたことだって、意味なんかないんだ。いじめの標的がお前に移るだけ。最悪、サターニャへのいじめが更に酷くなるかもしれない……!」

目から大粒の涙を流しながら、私はひたすら叫び続ける。それも、相手が自分を責める隙を与えないための、打算的な行為。

ラフィは、そんな私を見て一切動じなかった。じっと黙って、私の言葉が尽きるまで、優しい瞳で私を見据えていた。

私はその目がたまらなく不快だった。

92 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:10:17.277 ID:54fHYRxpd


93 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:13:16.239 ID:QdVdDnwD0
「……帰れ!!帰れよ!!私はお前なんかに話すことは何にもない!!」

「帰りませんよ」

目を瞑り、髪を振り乱して、ひたすらラフィを拒絶しようとする私に。

ラフィは、そんな私の頬を両手で抑え、じっと目を見つめてきた。

「絶対に、帰りません」

ラフィの瞳には、確かな覚悟が宿っていた。

「私は、諦めません。サターニャさんだけじゃなく、また四人みんなで笑い合えるような日が来るって、そう信じています」

なぜだかその言葉は、私の胸の中に、すうっと入ってきた。

きっと、それは私が最初に諦めてしまったもの。

途端に、自分の惨めさ、情けなさが、容赦なく私を責め立ててくる。

「………ぁ、あ」

私は初めて、「後悔」をした。

サターニャを助けなかったこと。ヴィーネを助けなかったこと。ラフィを頼らなかったこと。色んな後悔が、頭の中で目まぐるしく回って、回って……。

ラフィの胸の中で、私は泣き喚いた。

94 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:18:56.661 ID:QdVdDnwD0
×××

ガヴちゃんは、私の胸の中で、「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら、大声をあげて泣きました。

私はサターニャさんにしたように、ガヴちゃんの頭をそっと撫でながら慰めてあげます。

ガヴちゃんは具体的なことは何も言ってくれませんでしたが……けれど、辛い経験を通して、心が折れてしまっていたのはわかりました。

私に何も相談してくれなかったのも、そんな自分を、私に見られたくなかったから。

ガヴちゃんのそういった弱さ、脆さは、天界にいた頃から変わらないんですね。

私は少し安心していました。ガヴちゃんにここで完全に拒絶されていれば、もう打つ手はなかったからです。

これから私が今やろうとしていることは、私ひとりでも実行は可能ですが……そんなことに意味はありません。

サターニャさんの笑顔を取り戻す。そのためなら、私は何だってします。

95 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:20:27.125 ID:QdVdDnwD0
「……ぐすっ、ぐす」

「……落ち着きましたか?」

「………うん」

「なら、ゆっくりでいいので、教えてください。今までのことを。…ヴィーネさんのことを」

「…わかった」

「……話し終えたら、私からも話したいことがあります」


「どうか、協力してください」

96 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:23:24.626 ID:QdVdDnwD0
ーーーー

「サターニャさん♪一緒に学校行きましょう!」

神足通で家の中へと潜入した私は、まだ夢の中にいるサターニャさんを叩き起します。

「にゃっ!?……んあ?ら、ラフィ…?」

「寝起きなサターニャさんも可愛いです♪さ、学校行きますよ」

「……??んー……そうねー……」

どうやら寝起きで意識がまだハッキリしていないようです。

これはこれで都合がいいですね。このままサターニャさんを着替えさせて、学校へ連れて行ってしまいましょうか。

時刻は朝6時。私でも、いつもなら寝ている時間です。

さて、下克上の開始ですよ。

97 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:28:36.714 ID:QdVdDnwD0
「……ん、ぁー……ん?んん?あれ?ここどこ?メロンパンは??」

「ここはいつもの通学路ですよー」

あ、目が覚めましたね。案外早かったです。

「え?な、なんでラフィエルがいるのよ!?」

「そろそろ自分の足で歩けますか?では、改めて学校へ行きましょー」

「ちょ、ちょっと何よどういうことこれ!?説明しなさいよ!」

「説明は後です。とりあえず学校に着くまでは、頭の中に浮かんだ疑問は全部飲み込んでいてください」

「そ、そんなこと言われたって……」

サターニャさんはそう言って、私の服の裾を掴んだまま、立ち止まろうとします。

…きっと、まだ怖いのでしょうか。

無理もないです。私はサターニャさんが受けた傷の、ほんの一部しか知りません。その辛さは到底理解できるものではないですし……理解した気になっていいものではない。

でも、寄り添うことはできます。

「大丈夫です。サターニャさんは何も心配することはありません」

「………」

「言ったでしょう?私は何があっても、サターニャさんの側を離れない」

「………!」

私はサターニャさんの手を握り、前へ歩き出します。

「だから、サターニャさんも……私の側を、離れちゃダメですよ」

「……うん!」

98 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:31:53.842 ID:bzDGalpNa
ラフィサタいいぞー
いやサタラフィなのか?

99 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:32:37.372 ID:QdVdDnwD0
「………おはよう」

「……おはよ、ラフィ。……サターニャ」

久しぶりに、四人全員が集まりました。

「……ガヴリール。………ヴィネット」

サターニャさんは、私の手をぎゅっと握りしめ、まるで信じられないものを見るかのように、何度も瞬きを繰り返していました。

ヴィーネさんは、最初は少しはばかっていたようですが、ぐっと目を瞑り、サターニャさんに詰め寄ると。

地面に頭を擦り付けました。

「ごめんなさいっ!!本当に、私はっ……!何も出来なくなって、そんな自分が情けなくて、逃げて、逃げて……逃げてばっかりで……!」

「え、ちょ、ヴィ、ヴィネット!?」

「サターニャは私のことを許さないかもしれない。許してもらう資格なんてないのかもしれない。だけど、私は、…わたしはっ……」

「ああ、もう!顔上げなさいよ!!大丈夫だから!別に、アンタに怒ってなんかないわ!!」

「さ、サターニャ……」

100 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:35:15.345 ID:JsU/FCL80
>>59
「ぶち殺すぞヒューマン…!」かと思ったら

101 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:37:37.622 ID:QdVdDnwD0
私とガヴちゃんは、一部始終を見て、安堵の息を漏らします。

「……仲直りできたんですね?」

「……結局ヴィーネも、私と一緒だったから」

ガヴちゃんは、遠い目をして、その一言だけぽつりと漏らしました。

私は、それについて詳しくは追求しませんでした。それは、ガヴちゃんとヴィーネさんの物語だからです。

「サターニャには、全部終わってから謝るよ。……私の弱さが、あいつを追い詰めてたのは事実だし」

「……サターニャさんは、謝られるのが嫌いですよ」

「………え?」

「サターニャさんは優しいですから」

私はそう言って、唇をなぞります。

サターニャさんの、たまに見えるそういう心優しい部分が、サターニャさんの魅力の中でも、一際輝いていると私は思うのです。

102 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:39:54.831 ID:QdVdDnwD0
「さて、作戦の概要を説明しますね」

学校に着いた私は、3人の顔を見渡して、そう話を切り出します。

思えば、私が率先して何かをしようとするのは初めてかもしれません。

イベントごとの時はヴィーネさんが、みんなで遊ぶ時はサターニャさんが、みんなを引っ張っていってくれていましたからね。

私はそんな日常を取り戻すために戦うのです。

「作戦は至って簡単です。やられる前にやってやれ。以上です」

「………なるほどな」

「そういうことね」

「えっ、なに?どういうこと?」

「そうと決まれば、早速あいつらの靴に画鋲を仕掛けましょう♪」

「私は教科書ズタズタにしてやる」

「えっと、私は、私は……机の上に、花瓶とか置くの。どうかな?」

「!?え、ちょ、アンタたち、何をする気よ!?」

103 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:48:44.091 ID:QdVdDnwD0
サターニャさんは私たちの雰囲気にすっかり気後れしているようです。

「何なのかはわからないけど……嫌よ!!みんなが危ない目にあうなんて、絶対……」

そう言って、私たちを止めようとします。

サターニャさんの推測というか、勘というのは、ほとんど当たっていました。

目には目を、歯には歯を。
やられたなら、やり返してやればいい。
それが私の出した答えです。

教室の空気がサターニャさんを虐げるなら、その空気を変えてやればいい。相手が徒党を組むのなら、こっちも大人数で対抗してやればいい。

学校中を巻き込んで、全面戦争を仕掛けてやる。「いじめ」を「大喧嘩」にしてしまう。

力技ですし、辛い戦いになるのは間違いありませんが、もう私たちには、こうするしかないのです。

104 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:53:33.978 ID:683Xn1Kw0
お!きたきた!

105 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 15:57:35.976 ID:QdVdDnwD0
「私たちだって、サターニャさんだけが傷付くのはもううんざりなんです」

「っ……」

誤魔化しても仕方ないです。私は、本音でサターニャさんを説得します。

「誰か一人が傷付くなら、その傷をみんなで分け合えばいい。それが仲間です。それが友だちです」

「……仲間?」

「そうです。……私たちは、サターニャさんの仲間です」

ガヴちゃんも、ヴィーネさんも、私の言葉にちゃんと頷いてくれます。

「……私も、ガヴちゃんも、ヴィーネさんも。最初は間違えてしまいましたが、その事実だけは変わりません」

「………」

「ですから、サターニャさんも、私たちを頼ってください。そして私たちが辛い時には、頼らせてください」

差し出した手を、サターニャさんはぎゅっと握り返してくれました。

もう、誰にも負ける気はしません。

2人でもこんなに心強いんです。4人もいれば、無敵です。

106 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:00:43.690 ID:XF0tIoPb0
俺「そこで俺の登場ってわけだ」

ゴミA「あ゛?なによあんた」

ゴミB「だれよこいつw」

ゴミC「あたいらに何か用?」

俺「お前らが俺のサターニャにやってることは全部知ってるんだぜ?」ギロッ

ゴミA「まぁ、なんのことかしら」

俺「」ガシィィ!!

ゴミA「痛い痛い!やめっ!なにを、痛い!痛い痛い痛い痛い!」ブチブチブチィィィ!

ゴミA「ぐが...あがっ...」ゴゴゴゴ...

俺「」ギロッ

ゴミB「」ビクン!

ゴミC「ヒィィ!!」

107 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:00:58.017 ID:XF0tIoPb0
俺「へへっ、ははははははははははwwwwwwww」

俺「俺のサターニャを散々いじめておいてただで済むと思うなよなぁ?」ガシ!

ゴミB「ひっ!ち、ちがっ!これは、ゆ、許してなんでもs」ブルブル

俺「ふんぬっ!」バキッ!ドゴォ!

ゴミB「・・・」ゴゴゴ...

ゴミC「え、ちょ、ゴミBちゃん...?お、起きてよゴミBちゃn」ガクガク

俺「オラァァァ!!」ドカァ!!!バコォォォン!!!!!

ゴミC「あがっ・・・」バタン

俺「ふん、少しやりすぎたか...死なないよう手加減はしたつもりだったがな」

108 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:01:15.544 ID:683Xn1Kw0
天使力で姿消して盗撮してばらまけばいいのに
目には目をなら

109 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:01:27.986 ID:XF0tIoPb0
・・・


その後、クラスメイトたちによるサターニャへのいじめは綺麗さっぱりなくなったのであった


サターニャ(そういえば最近私へのいじめが全然なくなったけど・・・)

サターニャ(もしかしてラフィエルたちが・・・)

サターニャ「こ、今度メロンパンでも奢ってや、やろうかしら!」



俺(いつものサターニャに戻ったようだな...ふっ)

110 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:02:16.713 ID:683Xn1Kw0
>>109
ちょっと遅かったな

111 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:05:05.081 ID:QdVdDnwD0
「徹底的に、やりますよ」

「……ああ」

「わかってる」

「………ああ、もうっ!!よくわかんないけど!やってやろうじゃない!!」



この世界に降りて、サターニャさんを好きになって。

私は素直になりました。

欲しいものを、素直に欲しいと言えるようになりました。

素直に、好きなことだけをして生きていくと決めたんです。

だから、それを遮るものは、全力で壊します。

例え、天から堕とされようとも。

112 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:06:48.421 ID:QdVdDnwD0
「……ふう」

「お疲れ、ラフィエル」

「サターニャさん。いやー、先生に怒られるなんて、初めての体験ですよ」

「アンタは優等生だったものね…」

「まぁ、それで、サターニャさんの笑顔が見れるなら、安いものです」

「………うん、ありがとう。アンタがいなかったら、きっと私、とっくにダメになってた」

「うふふ。そう言ってもらえると嬉しいです」

113 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:07:49.070 ID:QdVdDnwD0
「……ねぇ、ラフィエル」

「なんですか?」

「……あの、この前の、アレ。……ほら、ラフィエルが私を助けてくれた日の、その……」

「ああ、キスのことですか?」

「!?そ、そうよっ!!あれどういう意味なの!?教えなさい!!」

「ふふっ、サターニャさんは本当に可愛いですね♪」

「だから、さっさとアレはなんだったのか―――」

そしてもう一度、私はサターニャさんに口付けをします。

私も、もう逃げません。

せっかく守った関係が、壊れてしまうかもしれないけれど。

壊れてしまっても、もう1度組み立てればいい話なんです。

だから、私は今度こそ伝えます。

「心の底から、愛しています。サターニャさん」

114 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:08:47.565 ID:QdVdDnwD0
終わりです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
ifルートを書いてくださった人にも感謝です

115 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:09:31.162 ID:XF0tIoPb0
サターニャ「...私もよ、ラフィエル...」

116 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:09:49.563 ID:11Ibnoch0
乙、すごく素晴らしい

117 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:09:57.249 ID:Zs4FagFG6
乙良かったよ

118 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:10:17.516 ID:h3OfwdX2d
>>109
今日はマサキの出番ないぞ

119 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:10:26.347 ID:683Xn1Kw0
乙!名作だった!

120 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:10:38.790 ID:QdVdDnwD0
>>71 違います。ごめんなさい
>>108 たぶんゼルエルクラスじゃないと視覚遮断はできないんじゃないかな……

121 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:11:46.364 ID:h0ONbkQx0
大作乙
頼りになるラフィエル大好き

122 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:14:11.291 ID:JsU/FCL80
乙乙

>>114
感謝すんなよ
どうせマサキだろそいつ

123 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:28:16.712 ID:hIGxgKlI0
良いラフィだった


124 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 16:52:48.671 ID:0qgvl2XC0
若干追い付けなくなったが面白かった
途中マサキが乱入した時は何事かと思ったが別人だった
おつおつ

125 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 17:01:31.499 ID:FP1uKug/0
良かったよ

126 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 18:36:05.601 ID:JYHaG21x0
面白かったお疲れ様です!
他には何か書いてたりする?
書いてるなら読んでみたい

127 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 18:42:57.921 ID:jOAq0U0/0

ハッピーエンドでよかった

128 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 18:56:43.607 ID:QdVdDnwD0
>>126 地の文はこれだけです。
長編なら
ガヴリール「もう悪魔と関わるな?」

ヴィーネ「私、タプちゃんと付き合えることになったの」ガヴリール「良かったじゃん」

ガヴリール「時をかけるサターニャ?」

この辺りを書きました。よければ読んでみてください

129 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:01:24.194 ID:g2Q9fqXNd
>>128
他にも書いてたのか
読んでみるわ

130 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:07:06.284 ID:hIGxgKlI0
URLくれさい

131 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:09:28.287 ID:5Leo4zjKd
>>128
時をかけるってサターニャが過去に行って結果的にガヴを駄天させちゃうやつ?
だとしたら読んだわ面白かった

132 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:12:58.739 ID:QdVdDnwD0
http://itest.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1489482459/

http://itest.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1488875576/

>>131 それ!ありがとう

133 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:13:43.200 ID:QdVdDnwD0
サターニャだけ見つからない
スレタイ検索で探してくれるとありがたいです

134 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 19:21:20.497 ID:5v/mRi610
>>128
ええやん……

135 :以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2017/04/07(金) 20:05:43.583 ID:hIGxgKlI0
>>132
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同じ人だったのか
おっつおっつ

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